VPC Lattice 詳細ガイドの概要
対象範囲: VPC Lattice のサービス/リソース API と AWS Gateway API Controller。選択したリリースとインストール済み CRD を確認してください。 最終更新日: 2026年10月12日
このセクションの内容
- サイドカープロキシ型のサービスメッシュ (App Mesh、Istio) からマネージドデータプレーン (VPC Lattice) に移行すると、実際に何が変わるか
- ドキュメントに記載された Lattice のアドレス指定、SigV4 署名、適用可能な認証ポリシーがリクエスト経路をどう変えるか
- SPIFFE/SPIRE から IAM にワークロード ID を移行するときに直面する構造上の違いと、それがレビュー委員会の議題になる理由
このセクションを独立させている理由
このセクションでは概念の理解を扱います。Lattice リソースの作成方法と AWS Gateway API Controller のインストール方法は、VPC Lattice で既に説明しています。Istio との機能ごとの比較は、Istio と VPC Lattice にあります。これら 2 つのドキュメントで扱っていない内容が、このセクションの対象です。すなわち、「なぜこのように設計されたのか」と「その設計から何が生じるのか」です。
急いで対応すべき背景があります。AWS App Mesh のサポートは 2026年9月30日に終了し、App Mesh コンソールと App Mesh リソースにはアクセスできなくなりました。新規顧客のオンボーディングは 2024年9月24日から停止されていました。App Mesh を使用していた組織にとって、この移行はもはや任意ではなく、期限も過ぎています。
しかし、App Mesh と Lattice は同じものの 2 つの実装ではありません。 データプレーンが置かれる場所 (Pod 内か AWS インフラストラクチャ内か)、ID を証明する粒度 (接続単位かリクエスト単位か)、信頼の起点を所有する主体 (顧客 CA か AWS IAM/STS か) が異なります。リソース名を一つずつ置き換える方法で移行すると、機能上の不足やセキュリティレビューの不合格に移行の終盤で気付くことになります。このセクションの目的は、そうした不足を先に明らかにすることです。
対象読者と前提条件
- AWS アーキテクトと顧客側のインフラストラクチャエンジニア
- EKS と Kubernetes の知識があることを前提とします
- VPC Lattice とサービスメッシュの内部動作は初めて学ぶことを前提とします
- コードやマニフェストの例は最小限です。ハンズオンラボのガイドではありません
ドキュメント構成
| # | ドキュメント | 解説する内容 |
|---|---|---|
| 1 | App Mesh と VPC Lattice のアーキテクチャ | データプレーンが Pod からインフラストラクチャに移ると、何が残り、何がなくなるのか |
| 2 | レイテンシへの影響分析 | レイテンシを悪化させる要因と改善させる要因の両方があります。自分たちの環境ではどちらが勝るのか |
| 3 | IAM 認証フローの詳細 | リクエストの署名から認可までの 4 段階で何が起きるのか |
| 4 | 基礎: リンクローカルと SNI | サイドカーなしでトラフィックをどのようにインターセプトするのか。TLS を終端しないことで何が失われるのか |
| 5 | ワークロード ID の移行: SPIFFE から IAM へ | IAM で SPIRE の機能を実現できるか。置き換えられないものは何か |
| 6 | 制約と意思決定のポイント | どのような機能、信頼、コスト、復旧の選択肢を確定する必要があるか |
| 7 | カーネルデータパス | Pod のルーティング、プロキシルール、接続追跡が経路にどう影響するか |
1 から順に読むことを推奨します。ドキュメント 4 (リンクローカル、SNI) は 3 と 6 の制約を理解する前提知識です。後の方に配置されていますが、ネットワークの基礎が不明な場合は最初に 4 を読んでください。
正確性に関する注意
このセクションの事実に関する記述は、AWS の公式ドキュメント、AWS Gateway API Controller のドキュメント、aws-samples/migrating-from-aws-app-mesh-to-amazon-vpc-lattice のリファレンス実装、SPIFFE/SPIRE のドキュメントに基づいています。
公式ドキュメントで確認できない内容は事実として記述せず、Needs verification ブロックで示します。Lattice には機能が追加され続けており、特にクォータと料金はリージョンや時期によって異なります。 設計を確定する前に、Service Quotas コンソールと VPC Lattice の料金ページで最新の値を直接確認してください。
関連ドキュメント
- VPC Lattice: Lattice リソースの設定と Gateway API Controller のインストール
- Gateway API: Kubernetes Gateway API 標準
- Istio と VPC Lattice: 機能、コスト、運用の複雑さの比較
- Istio セキュリティ: mTLS: サイドカー型の相互認証の仕組み
- Pod ネットワークのベンチマーク: 実測した同一 AZ と AZ 間のレイテンシ基準値